2014年5月28日水曜日

【速報】 「おやつがない学童保育」の江戸川区「すくすくスクール」で 、「一日育成日におやつ持参を求める」保護者の陳情、江戸川区教育委員会で即「不採択」!

更新が滞っており、申し訳ございません。

2/19の記事、「【署名ご協力のお願い】江戸川区において、国のガイドラインに則した「学童保育」の条例制定を求めます。」にご賛同いただき、署名をお送りくださいました江戸川区そして全国の皆様には、心から感謝申し上げます。本当にありがとうございます。

本件については追ってご報告いたしますが、本日はそれより先に、昨日の出来事を、速報でお伝え致します。

昨日5月27日、江戸川区において「江戸川区教育委員会・第10回定例会」が開催されました。
現在の江戸川区教育委員会のメンバーは、こちらの方々です。⇒ 「江戸川区教育委員会名簿」

さて、私たちは実は本年5月9日、下記のような陳情を、江戸川区に提出していました。

「すくすくスクール一日育成日に補食を持参できるよう配慮を求める陳情」


なぜあえて「一日育成日」に的を絞ったのか?
(一日育成日とは、運動会の振り替え休日のような「学校休業」の日、そして夏・冬・春の長期休暇などに、子ども達が「すくすくスクール学童」で一日を過ごす日のことです)

江戸川区の学童保育から「補食」が消えたのが、一年前の平成25年4月でした。

そして最初の夏休みであった同年7月、「夏季休暇中における学童登録児の補食持参についての陳情」を提出しました。このときにも、「せめて夏休みはおやつを」の思いが、強くありました。

しかしこの陳情も、結局、不採択になっています。(こちらの経緯は、当フォーラム前身である「江戸川区・学童補食の継続を願う会」のブログでご覧ください。⇒ こちら

夏休みの「一日育成日」には、学童の児童は朝9時からお弁当を持って「すくすくスクール」に行き、午前中は学校のプール活動や宿題に参加、お弁当を食べ、夕方6時まで「すくすくスクール」にいることになります。

この日、すくすくスクールで子ども達が口にできるのは、お弁当から夕方6時まで、当然「水道水」だけです。すくすくスクールでは、昨年から麦茶の提供も廃止されています。ただ熱中症対策のためか、昨年夏は一部のすくすくスクールで、子どもたちに「塩」を与えていたようです。(この衝撃的な「塩学童」の記事は⇒こちらの下のほうにあります)

このような環境は、体力を消耗する夏場は、特に低学年児童には「酷」であると、私たち働く親は認識しています。それでも、仕事があるから、祖父母は遠くにいて頼れないから、さらに民間学童はとても高額で家計負担が大きいから、仕事を続けるためには、「すくすくスクール学童」に預けるしかないのです。

もちろん一日育成日だけでなく、普段の放課後でも、おやつがなくなったことは学童保育としてのすくすくスクールの環境を、大いに悪化させていると私たちは考えています。

江戸川区のすくすくスクール担当部署・教育推進課では、「補食がなくても子ども達は問題なく過ごしている」「補食がなくなってかえって良かったと現場のスタッフも言っている」という発表が繰り返しなされています。過去の江戸川区教育委員会の議事録を見ると、委員会の場においても、教育推進課からこういった報告がなされています。

しかし少なくとも18時まで「すくすくスクール学童」に子どもを預けている親は、全くそうは思っていません。だから私たちは、しつこいのですが、本当にしつこいのですが、江戸川区教育委員会に、また江戸川区議会(文教委員会)に、陳情を出し続けているのです。

さて、そして上記陳情、5/9に江戸川区教育委員会に提出し、昨日の教育委員会定例会で審議が始まりました。当然、ご列席の教育委員の方々のご意見をいただきながら、審議が進むものだと思っておりました。

しかし結論は、即、その場で「不採択」でした。

内部でどのような発言があったか、傍聴に行っていない私たちは知ることが出来ません。議事録の公開も、いつもどおり3~4ヵ月後でしょう。

じゅうぶんな審議もなく、現場の子どもたちの実態を見ることもなく、これを不採択とする。これが、江戸川区の「学童保育」の現状です。

江戸川区は「すくすくスクール」を、画期的な「学童保育」であるとして「全国に誇って」います。
それは、東洋経済オンラインで江戸川区長が自ら語られた「脱常識!江戸川区のすごい「学童保育」~「つまらない」「入れない」の常識を覆す」に、その姿勢が集約されていると言っていいでしょう。
(なおこの記事に対してえどがわ学童保育フォーラムでは、『「学童保育」の常識を覆す、脱現実!東洋経済のすごい「記事」』という、保護者座談会を開催しております)

何度も申し上げますが、私たちは「すくすくスクール」を否定していません。「すくすくスクール」は、子ども達にとって豊かで実りある放課後の場であり、母親や祖父母など家族が在宅している家庭にとっても子育て支援ともなっている、優れた事業であると認識しています。

ただ、帰りたくても帰れない子ども達、すくすくスクールを「生活の場」として長時間過ごす、働く親を持つ子ども達に対しては、「学童保育」でもあって欲しいのです。

「生活の場」としての機能。そのひとつが、「おやつ」です。だから私たちは、おやつの提供を訴え続けています。

最後に、不採択になった陳情の全文をご紹介します。


平成26年5月9日
江戸川区教育委員会
委員長 尾上 郁子 殿


すくすくスクール一日育成日に補食を持参できるよう配慮を求める陳情


陳情者:えどがわ学童保育フォーラム


すくすくスクールに内包される学童クラブ登録児童への補食の提供が平成25年4月より廃止され1年が過ぎました。この間、子ども達は空腹を訴え保護者は不安を抱えながら補食の再開を希望する声をあげ、区議会や教育委員会に陳情をしてまいりましたが、未だ補食が許可されない日々が続いております。

陳情審査における担当課からの説明は「すくすく登録児童と学童クラブ登録児童は同じ時間を同じよう分け隔てなく過ごす」「補食を希望しているのは一部の保護者であり、大半の保護者は廃止に理解を示している」「補食がなくても、子どもたちは元気にイキイキ過ごしており問題ない」というものでした。

昨年夏休みを前に「夏季休暇中における学童登録児の補食持参についての陳情」が教育委員会に複数出されましたが、会議では「持ち込みは過去に経験がないため管理上難しい点がある」「長期休暇中であっても、普段のすくすくスクールと一緒。何ら変わりはない」という主に運営上の観点から補食持参が許可されることはありませんでした。

私達はこの1年の間、当事者である子どもの訴えを聞き、親の立場で考え情報交換をしてまいりましたところ、別紙のとおり区内の複数のすくすくスクールや家庭で担当課の説明とはかけ離れた状態が起きているということがわかりました。

特に一日育成日の子ども達は、警備上の理由から学校内で利用できる場所もより制限されるため、9時間にも及ぶ長時間をごった返した教室内で過ごすこともできず、校庭を走り回り発散場所を求めて遊びきろうとしています。その分消耗もします。お腹も空きます。子ども達の実生活では大人が考えるように「一日育成日でも放課後のすくすくスクールと同じ」というわけにはいかないのが現実です。

これから夏を迎えるにあたり熱中症も心配です。水補給だけでは体内のナトリウム濃度が下がってしまいます。しかし、スポーツドリンクを持参し一日中飲めば、塩分糖分の過剰摂取となり別の健康被害に繋がり兼ねません。夢中で遊び身体の変化にも自ら気づけないような子ども達にとっては食べやすい塩せんべいなどで塩分補給をすることも有効です。

運営上の課題はあるかもしれませんが、子ども達の立場にたち、子ども達の健全な成長のために家庭とも連携を深めぜひ克服していただき、せめて一日育成日だけでも補食を必要とする希望者には、すくすく登録、学童クラブ登録の区分に関係なく補食持参できる配慮をしていただけますよう陳情いたします。

以上

(別紙)


補食廃止後の子ども達の訴え(話)や保護者の話の一部

●お菓子を持ってきて、みんなの前で食べだして先生に怒られた子がいた。

●お腹すいたと先生に言っても仕方がないので我慢している。

●お腹すいたと先生に言うと「我慢して」と言われた。

●トイレで飴をなめている子がいた。

●給食のパンを持ち帰りすくすくスクールで食べようとした子がいた。

●お弁当を2つに分けて持ってきて、2回に分けて食べている子がいた。

●学校休業日のすくすくスクールで、学校の外の友達(すくすくスクールに参加していない友達)に金網越しにお菓子をもらって先生に見つかった。

●お弁当の他にドーナツを持ってきている子がいて先生にダメと言われた。

●学校遠足の時におやつを残してきて、すくすくスクールで友達とこっそり食べていたら先生に見つかった。

●子どもが親の目を盗み、クッキーをランドセルに忍ばせて登校していた。お腹がすくのですくすくスクールでこっそり食べていたことがわかった。

●お迎えから帰宅途中の自転車の後席でパンを食べさせている。お行儀が悪いと思いながらも我慢の限界で耐えられない子どもをなだめるために仕方なくやっている。空腹のまま帰宅すれば家についてからの行動に影響がでるため。親として複雑な思いがある。

●おやつが無い生活にも慣れてきたと思っていたところ、急に帰宅後空腹を訴えるようになった。身体の成長と共に活動量も増えて帰宅時は飢餓状態になっている。

●帰宅後、靴を脱いだ途端食べ物を探している。お腹が空き過ぎて食べる衝動を止められず手あたり次第パンでもお菓子でもあるものを食べ続けそのまま夕食に突入する。我が家では帰宅後夕食までの30分が宿題や学習時間だったが、すっかり学習習慣が崩れてしまった。

●帰宅後、過食症ではないかと思うくらい病的に食べ続ける。お腹が空き過ぎていたのだろうと我が子が不憫になるのと同時に健康が心配。

●学童クラブ登録説明会の時に、「なぜおやつが廃止になったのか」という質問をしていた保護者がいて、疑問を持っているのは私だけではなかったのだと安心した。

●一日育成日は特にお腹が空くという。大きめのお弁当を持たせても足りないのだと子どもが言う。給食では3回4回おかわりをしているので、お弁当ではおかわりがないため夕方にはお腹が空いてしまう。普段から大量に給食を詰め込んでいることがよく分かった。


陳情文は以上です。

江戸川区の区立小学校では、5月末頃に運動会があります。

運動会前の2週間ほどは、運動会用の時間割が組まれ、多い日では一日3時間が「運動会練習」になります。例えば、1時間目は入場行進などの「全校練習」、4時間目に「学年のダンスの練習」、5時間目に「かけっこ、リレーなど個人競技の練習」と言うように、強い日差しの下で体力を消耗する日々となっています。

これらをこなし、さらにすくすくスクールで18時まで過ごす学童の児童ですが、そこには「おやつ」も、休息の場も、まして子どもの心に寄り添う「保育」の姿は、すでにありません。体調を崩しても、元気な子ども達が遊びまわる同じ「すくすくホームルーム」の、喧騒の床に古タオル一枚を掛けられ、寝転がって親の迎えを待つ。そんな現状があります。

そして今、保育園を卒園して、入学したばかりの小さな一年生たちが、この環境で過ごしています。

これが全国に誇る江戸川区の「すくすくスクール」、その中の「学童保育」の現状です。

また続報いたします。