2014年10月3日金曜日

 【 陳情提出!】 私たちは「学童保育廃止条例」議案の廃案を求めます。

就労支援としての江戸川区の「学童保育」は、今は風前の灯となりました。

学童の「おやつ」が廃止されようとした時も、平成23年の秋に「廃止」の予算案が江戸川区議会で可決成立してから、翌平成24年の1月末に、利用者に「廃止します」と通知がなされました。

そこから陳情を提出し、「おやつを保護者が自主運営する陳情」「夏休みなど長期休暇だけでもおやつを持参させて欲しい陳情」など、1年にわたり、保護者が数多くの要望を上げてきました。

しかし、
「ごく一部の親が騒いでいるに過ぎない」
「現場は問題ないと言っている」
「すくすくスクール一般登録の子と学童の子に、“分け隔て”があってはならない」

等の理由で、すべて却下されて来ました。
(詳しくは 「江戸川区・学童補食の継続を願う会」でご覧ください)

そしていま、以下の陳情書が、江戸川区議会に提出されています。

◆陳情者

えどがわ学童保育フォーラム
ならびに
現在または今後江戸川区の放課後児童健全育成事業を必要としている児童保護者一同

◆タイトル

平成26年第3回江戸川区議会定例会に提出される予定の
第74号議案「江戸川区すくすくスクール事業条例」および
これの付則3である「江戸川区学童クラブ事業条例の廃止」の
廃案を求める陳情書


クリックで拡大します。


以下に全文を掲載します。

江戸川区は、利用者の声に耳を傾けるでしょうか。動向にご注目ください。
そしてこのことを広めていただき、私たちにお力添えを、どうかよろしくお願いします!

-  以下陳情全文 -
(読みやすく改行を追加しています)

平成16年、江戸川区内の学童クラブがすべてすくすくスクールの中の学童クラブ登録に移行しました。その際、区民には添付資料のごとく、「学童クラブの機能を維持する」と説明されました。

現在の江戸川区学童クラブ条例でも、学童クラブ登録は、児童福祉法上の放課後児童健全育成事業のままです。しかしその後、誕生会、アルバム、遠足、入卒式など、学童保育らしいとりくみは全て廃止され、具合が悪くなって静養するスペースも特になく、平成25年度から補食(おやつ)も廃止されました。

区は【放課後児童健全育成事業は「家庭的な場」を考えて行う事業である】と認めていますが、【「すくすくスクールにそのような考えはない」】という見解を明らかにしました(平成26年6月文教委員会)。

現在、学童クラブ登録と一般児童であるすくすく登録の違いは、出欠確認と個人の荷物置き場があること、17時から18時までの育成時間延長の違いしかありません。すなわち、すくすくスクールの中で運営されている学童クラブには、家庭的な場はないことになります。

この運営実態は、児童福祉法に違反しているのではないでしょうか。

かつての学童クラブは、親がいない間、子どもたちが必要とする「家庭に代わる心身の養護の役割」を担っていました。そして子どもたちには、顔ぶれが一定で、適切な大きさの集団の中で、指導員の丁寧な関わりのもと人間関係を学ぶ姿がありました。その結果、卒室時には、学童指導員へ自発的に手紙を書き、感謝の言葉と自立した生活への意欲を述べるまでに成長する姿があったのです。

しかし、いま、学童保育という支援が与えられていたはずのこどもたちは、顔ぶれの一定しない大規模集団に混じり、指導員との関係も希薄になっています。居場所を見つけられなかったこどもたちは学童クラブ登録をやめてフェードアウトするように去るか、ホームルームでただひたすら時間の過ぎるのを待っている状況です。

学童期におやつは必要なものと学問的に認められていますが、すくすくスクールの学童クラブでは空腹に関してはただ我慢を強いられます。このようなこどもたちにとって、親が働いて不在であることは理不尽でつまらないことであり、これは保護者が安心して働ける状況ではありません。

すくすくスクールは、不定期に参加するなどの理由で、集団のルールがよく守れないこどもも大勢参加します。そういう場所へ、本人の好むと好まざるにかかわらず学童の子どもは毎日行かなければいけません。大勢のなかにまぎれたこどもが出している心身の不具合のサイン、これに気づくことは容易なことではありません。しかしそれこそが、親がいない放課後の長い時間、独りで過ごさなければいけないこどもが、そして保護者が必要とする支援です。

児童福祉法で述べられている学童クラブの機能を維持するためには、すくすくスクール移行後は、経験豊かな指導員を養成しその数をさらに増やさなければならないはずですが、江戸川区行政は指導員の退職者を非補充とし、減少させています。

このような状況下で、江戸川区行政は第3回江戸川区議会定例会に「江戸川区すくすくスクール事業条例」と付則「江戸川区学童クラブ事業条例の廃止」を上程されようとしています。

この「江戸川区すくすくスクール事業条例」の中に、【 保護者の就労等の理由により、家庭において適切な保護を受けることができない児童に対する事業である「学童クラブ事業」を行う】ことが書かれています。ここに書かれている、「学童クラブ事業」の対象者は、児童福祉法の放課後児童健全育成事業、ならびに、児童福祉法のもとにある現在の江戸川区学童クラブ登録の対象者と全く同一の児童です。

それにもかかわらず、新条例では、現行の「江戸川区学童クラブ事業条例」第二条にある【 児童福祉法第六条の二第十二項の規定に基づき 】にあたる条文が見当たりません。

わたしたち保護者は、はじめに述べたような江戸川区学童クラブ事業の現状をふまえ、昨年度内閣府より示された「社会保障審議会児童部会 放課後児童クラブの基準に関する専門委員会報告書」について国が示した水準を達成し、学童クラブ事業が改善されるよう、本年度の区議会へ陳情書と署名を提出し、求めてきました。

しかし、もし第74号議案が可決されれば、今後一切、国の基準に基づいた改善を行う義務がなくなります。日本国の法律において児童福祉法上の放課後児童健全育成事業による支援を受ける権利を保障されている児童を、江戸川区ではあえて児童福祉法によらない事業下に置く根拠ができることになります。

上程された条例は、こども子育て支援法 の第61条の6【 市町村子ども・子育て支援事業計画は、社会福祉法第百七条に規定する市町村地域福祉計画、教育基本法第十七条第二項の規定により市町村が定める教育の振興のための施策に関する基本的な計画その他の法律の規定による計画であって子どもの福祉又は教育に関する事項を定めるものと調和が保たれたものでなければならない。 】に整合していません。

新条例のもとで学童クラブの運営内容は改善されるのでしょうか。

江戸川区多田正見区長は、平成18年2月14日開催 第164回国会 青少年問題に関する特別委員会 第2号において次のように述べています。

「ですから、例えばすくすくスクールをやるとします。今、すくすくスクールは全体で十九億円かかっております。二万七千人の子供たちが来ておりますが、この中に学童クラブが入っております。

十九億円のうちの約十五億円は、従来からかけておりました学童クラブ経費でございます、合体いたしましたので。そうしますと、すくすくスクールだけでは、子供の数はうんと多いんですが、大体四億円で済んでいる、こういうことでございます。

学童クラブには正規の指導員がいました。これは公務員です。この部分は、これから非常勤化をしていくという方針をとっております。一日いていただく必要はないということになります。

したがって、これをそれに順次切りかえていきます。そうしますと、学童クラブとすくすくを合わせまして、恐らく十億円ぐらいでできることになるかなというふうに思っています。」

すくすくスクールの運営費予算は現在8.8億円(前年度比約6500万削減)とされていますが、これは主に非常勤職員と臨時職員だけに対する給与の総額です。常勤指導員に対する給与はこの額外で約6~7億円と思われます。退職者不補充の方針のもと、今年度は常勤非常勤を併せて昨年度比10%以上の指導員が減りました。

国会で述べられた目標を達成するべく、今後さらに指導員を減らせば、学童クラブの運営内容はさらに悪化します。もっぱら人材に質を左右される本事業が、児童福祉法による規定を離れ、江戸川区独自のものとなることに、保護者が大きな懸念を抱くことは当然です。

「放課後児童健全育成事業」のニーズ量は江戸川区の調査によれば平成27年度には6526人と報告されています。学童クラブ事業が放課後児童健全育成事業にあたらない事業になるという大きな方針転換について条例化しようとしているにもかかわらず、区民、ならびに、区民の代表であり、すくすくスクールクラブマネージャーも参加している「江戸川区子ども・子育て応援会議」に対して全く周知されておらず理解を得る努力も行われていません。このことも大きな問題です。

上記発言の直後に、識者からも職員の非常勤化に対する危惧の指摘を受けており、慎重にしていただく必要があると考えられます。以上より、第74号議案は、可決するに不適切な条例であると考えます。


第74号議案の廃案、これに伴い同条例付則の3江戸川区学童クラブ事業条例の廃止の廃案を陳情します。

平成26年9月22日 江戸川区議会 議長 高木 秀隆 殿

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