2014年7月10日木曜日

【7/27(日)船堀にて学習会開催】全児童対策事業と一体化しても学童保育に「おやつ」がある!世田谷区「新BOP」に学ぶ、一体化の姿。

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えどがわ学童保育フォーラム、2回目の学習会を開催いたします。

江戸川区の「すくすくスクール学童」から「おやつ」が消えて1年半。「すくすくスクール学童」に、学童保育の子ども達が「生活の場」として安心して過ごせる要素を返して欲しい。そんな働く親たちの願いとは裏腹に、いまだに江戸川区は「子ども達は何の問題もなく過ごしている」と、繰り返しています。

江戸川区が全児童対策事業「すくすくスクール」を導入し11年が過ぎたいま、江戸川区の「学童保育」は実質、消滅寸前の状況です。

さて同じ23区内の世田谷区では、「新BOP」という全児童対策事業が導入されています。「新BOP」とは、「Base of playing=遊びの基地」という意味。実は過日、「えどがわ学童保育フォーラム」のメンバーが、普段の新BOP の様子を見学に行きました。

そこには、午後3時の「おやつ」があった。
落ち着いて過ごせる部屋もあった。
連絡ノートは大切なものだった。
何より、学童の子ども達の放課後をあたたかく見守る、
大人たちの姿勢と努力があった。

世田谷区の全児童対策事業、「新BOP」。
先月、世田谷区内のとある小学校内に併設された新BOPを、目の当たりにする機会に恵まれました。

◆おやつ

見学に入ったのが、午後2時半過ぎ。学校が終わり、「ただいまー!」と、学童の子ども達が次々と新BOPに駆け込んできます。

そして午後3時を過ぎるころ、学童の子どもたちに配られていたのは、「おやつ」。「やったあ!」「これ好き!」…学童の子どもたちが弾けるような笑顔でおやつに向かう姿は、江戸川区から来た私たちには、あまりに衝撃的な光景でした。

学童の子ども達は、一般参加の子どもたちとは別の部屋で、スタッフの見守りのもとでおやつを食べていました。ちなみに一般参加の子どもたちには、学童の子だけおやつを食べることについては、、「あの子達はお父さんお母さんがお仕事でおうちが留守だから、おやつがある」と、あらかじめ説明をうけており、子ども達はすんなり納得し、特に問題は起こっていないそうです。

江戸川区のすくすくスクール学童で「補食」を提供しない最大の理由は、「分け隔てがあってはいけない」ですが、世田谷区では、おやつを食べる別室を設けることで、これを難なく解決しているのでした。

◆学童専用のスペース

新BOPには学童「専用」と明記された部屋はありませんが、学童の子と一般登録の子はランドセルを置く部屋が別々でした。学童側の部屋の入口には、学童連絡ノートを受け取るノート番スタッフが常駐し、その部屋は折り紙など座って遊ぶ玩具しかない静かな場所。落ち着いて過ごしたい学童の子が、にぎやかで騒がしい新BOPの部屋を離れ、この部屋でノート番スタッフの見守りのもと静かに過ごす姿が印象的でした。

一方江戸川区のすくすくスクールは、「すくすくホームルーム」という、一般的な教室2個分くらいの部屋で、一般参加の子も、学童の子も、一緒にすごします。学校によりますが、多いときで100名を超える子どもがひしめきあう場所で、静かに、落ち着いて過ごすことは非常に困難です。

◆静養スペース

さらにスタッフの後ろにはカーテンで仕切れる場所があり、具合の悪い子は簡易ベッドで静養することができるとのことでした。すくすくスクールでは、熱を出した子どもが、大勢の子が遊びまわる喧騒のすくすくスクールホームルームの床に、じかに寝かされていたことを思うと、これもまた驚きでした。

◆連絡ノート

ちなみに、新BOPの子ども達が提出していた「連絡ノート」ですが、これはスタッフと保護者をつなぐもの。帰宅時間や子どもの様子を伝え合うもので、新BOPでは、「命綱」ともいえる大切なものだそうです。

一方江戸川区のすくすくスクールでは、学童の連絡ノートは、ここ数年で機能を低下させています。以前は学童の子は必ず利用して、スタッフもその日の様子などをコメントしていましたが、いまや多くのすくすくスクールで、「ノートは一年生だけでいい」として、廃止の方向に向かっています。


◆学童保育としての組織と責任者

すくすくスクールの「クラブマネージャー」にあたる新BOPの「事務局長」は、校長を退職者された方。元校長先生ゆえ人員配置のこと、校舎利用のことなど、区や学校側と実効力をもった交渉ができるとのこと。

一方で、江戸川区の「クラブマネージャー」は地域の民間ボランティアです。昨年度からはクラブマネージャーさんの報酬も(学童の「補食」の廃止と同時に)、カットされて「無償」となったこととは、ずいぶん違います。

◆課題解決のための場

また年2回、事務局長、地域の民生委員、学童保育の保護者会代表者らが定期的に会合し問題解決を図っているそうです。

江戸川区のクラブマネージャーと学童の保護者には、学童保育の課題や問題を解決するための、こういった機会はありません。

◆学童独自の行事や、保護者のつながり

新BOPには、進級式や誕生会など学童独自行事もあります。学童の保護者組織もあり、保護者会主催の行事も行われ、保護者同士のつながりも持たれているそうです。

一方、江戸川区のすくすくスクールでは、学童の入室式、卒室式、進級式、お誕生会などの行事は、すくすくスクールになったころから消えています。これもまたずいぶん違います。

さらに新BOPでは保護者同士のつながりや組織もあるとのことですが、一方の江戸川区では、大方の江戸川区保護者は、「学童の保護者のつながりは皆無である」というのが実感です(学校により差はあります)。

世田谷区ホームページ「新BOPについて」 もあわせてご覧ください。

この新BOPの有り様は、「(一般の子と学童の子は)分け隔てなく扱うべき」とする江戸川区とは、あまりに違います。この違いは、いったいどこから来るのでしょう? 「すくすくスクール」に、「新BOP」の要素を取り入れることができないでしょうか?

今回は、新BOP現状報告などをひも解きながら、皆で糸口を探って行きます。講演と言うより、ざっくばらんなトークの場です。ぜひお気軽に、お越しください。

配布用のチラシをご用意いたしました。
転送、印刷配布歓迎です。どうぞご利用ください。


チラシのダウンロードはこちらから。

なお世田谷区「新BOP」については、先月の「日経DUAL」で詳細が紹介されています。あわせてご覧ください。

日経DUAL 2014/06/03記事
学童希望者が全員入れる世田谷区「新BOP」
全児童対策事業の一体化進む世田谷区 充実の職員体制
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