2014年9月27日土曜日

【学童保育縮小・廃止で予算削減を目指す!】江戸川区、「すくすくスクール」導入による学童保育予算削減のシナリオ

ついに始まりました。

昨日木曜日、9月25日、平成26年・第三回江戸川区議会定例会に、二つの議案が上程されました。

◆第73号議案
 江戸川区放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準を定める条例

◆第74号議案
 江戸川区すくすくスクール事業条例

上記2つは、江戸川区議会を経て、10月28日ごろには採決されます。

条例の詳細は、後日に譲るとして、ここでご紹介したい、とある「議事録」があります。

今をさかのぼること約8年前、衆議院の「青少年問題に関する特別委員会」で、江戸川区長が参考人として呼ばれ、江戸川区の子どもに関する施策のひとつとして、すくすくスクールと学童保育について質疑を行った時のものです。


平成18年2月14日 第164回国会における江戸川区区長発言

リンク先である衆議院のサイトで、ぜひ全文をお読みいただくことをお勧めします(全文はかなり長いので、ページ内検索「CTRL+F」などで「すくすくスクール」と入れると、拾い読みができます)。

さてここでは、すくすくスクールに言及した中でも、最もポイントとなる「予算」に言及した部分をご紹介します。

当時は、「全児童対策事業」は、いまほど一般的ではありませんでした。その中で、この会議の2年前、平成16年から全児童対策事業である「すくすくスクール」を導入した江戸川区について、様々な説明がなされたのち、民主党の小宮山議員(当時)が、下記のように質問をしました。

(会議録より抜粋)

◆ 小宮山(洋)委員 ◆
多田参考人に伺いたいんですが、先ほど、どんな支援が必要かすぐには言えないと言われましたけれども、先ほどちょっとおっしゃりかけた、地域の力を引き出すための仕組みをつくったりすることにはお金もかかるんだ、そのあたりをもう少し教えていただきたいというふうに思います。今、何かを支援ができないかということで私たちはいろいろ審議をしているものですから。

これに対し、下記のように回答がなされました。


◆ 多田参考人 ◆

私も、そういうことについて余り深く考えたことがありませんので、これだと言うことはなかなか難しいお話になります。

今、子供の健全育成あるいは犯罪防止のために、子供ではないところに、ある体制づくりをしていこう、こういう動きがあるかと思います。しかし、私ども、肝心なところは、子供に対して、健全育成なんですが、どういう影響力を地域として、あるいは社会として与えていけるのかというところを、もうちょっと重点的に考えていくべきではないかというふうに思っています。

例えば、子供に使うお金は、手当もありますし、保育所もありますし、いろいろございます。しかしながら、それらは、どちらかといえば親に対しての経済支援ということになっているわけであります。私たちは、もっと子供に直接影響のあるところにお金を使えないかということを考えております。

ですから、例えばすくすくスクールをやるとします。今、すくすくスクールは全体で19億円かかっております。27,000人の子供たちが来ておりますが、この中に学童クラブが入っております。

19億円のうちの約15億円は、従来からかけておりました学童クラブ経費でございます、合体いたしましたので。そうしますと、すくすくスクールだけでは、子供の数はうんと多いんですが、大体4億円で済んでいる、こういうことでございます。

学童クラブには正規の指導員がいました。これは公務員です。この部分は、これから非常勤化をしていくという方針をとっております。一日いていただく必要はないということになります。したがって、これをそれに順次切りかえていきます。そうしますと、約5億円で済むことになります

学童クラブとすくすくを合わせまして、恐らく10億円ぐらいでできることになるかなというふうに思っています。

これに対して、例えばすくすくスクールは、文部科学省が安全な居場所づくりということで予算化をいたしました。それで、その予算化されたものを、私ども、そのお金はいただこうということでいただいておりますが、3,000万円でございます。その3,000万円は、直接、児童に対する経費というよりは、つまり、運営委員会をつくってください、その運営委員会に対する助成としてそれを提供します、こういうことでございますので、子供にかかわる直接経費、さまざまな経費が必要になります。ボランティアでも、有償のボランティアをお願いしなければならない場合もございます。それから、いろいろな調度品、小道具、スポーツ用具、さまざまに要ります。こういったことにお金も使わなければなりません。
※注:読みやすさを配慮し、文中の漢数字は数字に修正しています。

そういうことになりますと、これは全部自治体の負担でやれればやっていいんですけれども、全国的に考えれば、それはなかなかの負担だというところも多々出てくるのではないかと思いますので、そういう子供に対する直接経費というもの、こういったものをもう少しお考えいただけたらいいのかな、そういうふうに思っております。

議事録の抜粋は以上です。全文は、こちらでお読みいただけます。

実は平成26年の現在、江戸川区の「すくすくスクール(学童保育含む)」の予算はおよそ8.8億円です。

ちなみに実は、この8.8億円のほかに、「正規職員の給与 6~7億円」というのがあります。
現在、江戸川区が言うところの「すくすくスクール予算」とは、あくまで「と非常勤職員・臨時職員だけの給与を含む予算」なのです。

というわけで、「正規職員給与」と、「非常勤職員・臨時職員だけの給与を含むすくすくスクール予算」を合計すると、15~16億円になります。

ここで、もう一度衆議院での発言を振り返ってみましょう。
平成18年当時、江戸川区長は「学童クラブとすくすくを合わせまして、恐らく10億円ぐらいでできることになるかなと」と、予想されております。

つまり今後は、この「15~16億円」を、「10億円」にしてきたいと、江戸川区にはプランがあるのでは?…と予想されます。

減らすためには、何を削るのか。…「人件費」です。

人員の質は、保育の質です。
もっぱら人材に質を左右されると言われる「保育」事業で、質を下げても構わないと判断し人員をさらに削っていけば、経費をどんどん減らすことができます。

今後江戸川区は、すくすくスクールと、すくすくスクール学童の人件費を、これからまだまだ削減していくでしょう。その予想を裏付ける、事実があります。

正規職員については、この10年間で採用がゼロである。

◆昨年度からは、非常勤指導員も新規雇用なし。退職者分は、マイナスのままである

今後も、この「正規職員は新規採用せず」また「退職者不補充」の方針からして、今後、学童指導員が増えていくことはありえないと予想されます。

実は事実、常勤職員と非常勤職員をあわせ、今年度は「10%以上の指導員削減」を、江戸川区は実現しています。

以上を図にすると、下記のようになります。


クリックで拡大します。
※上記の図は、 こちら からPDFでダウンロードもできます(再配布自由。改変厳禁)


現状の「すくすくスクール学童登録」は、月額4000円の保護者負担で実施されています(午後5時過ぎの”補食”が提供されていた時は別途月額1700円)が、これは今や、ほとんど「出欠確認」と「ランドセル置き場代」のみであると、多くの保護者が感じています。

“学童”と言いながら、他自治体の「学童保育」とは、似ても似つかぬ実態です。

そう。正規職員も、非常勤職員すらも、減らしていけば、こうなるのは当然です。

さて、今を去ること8年前、江戸川区長に質問をした当時の小宮山議員は、さらに下記のようにひと言、申し添えておられます。


小宮山(洋)委員
ありがとうございます。最後に一言だけ。

今の学童のことはこの委員会でやってきたんですけれども、一緒になることによって、学童の子供たちはずっとやはりそこで暮らしを見なきゃいけない、そこが非常勤化されたりすることによって質がどうなるかということを保護者の方がまた非常に心配されていますので、そうしたことも全体考えながら、子供に対してどういうことをしていけるのかを、またこの委員会でも考えていければと思っております」

そこは「留守家庭の子ども達の、暮らしを見る場所」であると、言っています。

「一緒になることによって」、その「質」の低下を懸念した、平成18年当時の小宮山議員。

今のすくすくスクール学童の姿を、すでに10年以上前から、江戸川区長はプランしていました。

これが、自称「子育てに優しい区」、江戸川区です。

小宮山議員の懸念が見事に現実のものになったことは、いますくすくスクール学童に子どもを預けて働いている私たちが、日々、痛感していることです。

次回に続きます。

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